 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
500キロ前後の体を、疾走時には1本の肢で支えることになる競走馬に、脚の故障は付きものといえます。ただ、それでも故障しやすい馬と、そうでない馬がいます。馬自体の生命にも関わることですが、まず覚えていて欲しいのは「膝つきの完璧な馬は、存在しない」ということです。必ずどこか気になる点はあるものです。 |
1.膝つきを見る目的は、本馬の競走能力を予測することではありません。目的は、本馬が調教を積む過程で、膝と肢が負担に耐えられるかどうかを判断することです。膝の形、膝つきの思わしくないものは、強い調教を積むにつれてかかる負担も重くなり、故障を発生する可能性も高くなります。膝の形、膝つきの完璧な馬にはまず出会えません。 |
2.膝の形、膝つきには少なからず気になる点があるものです。大事なのは、そのリスクを知ることであり、自分でリスクを承知の上で納得して馬を選ぶことです。たとえ肢にいくつかの気になる点があっても、それが調教に耐えられるかどうかの判断は自分でしなくてはなりません。実際に調教を積んでからでなければ肢が持つかどうかは分かりません。膝つきの良くないものは競走馬となってからも負担がかかるため、順調に使えない可能性もあります。ここからは、膝の形、膝つきについて説明しますが、パンフレットの写真などをじっくり確認して、可能性とリスクを天秤にかけ、自分の判断がどちらに傾くかによって、買うのか見送るのかの判断をつけることをお勧めします。 |
3.膝の形は、大きく、骨ばっていて、丈夫そうで、形が滑らかで、いびつでない形で、左右ともに同じであるものが理想です。もちろんこんな馬は滅多にいません。多少の形の歪みは気にしないほうが良いでしょう。形よりも膝と肢の軸のつくり(これを支軸と呼びます)の方がむしろ大切になります。 |
4.馬を前から見て、膝の上と膝の下につながる前肢の作りがどうなっているか確認します。理想は肘から下へ向かう前肢がねじれることなく真っ直ぐ膝関節の中心部につながり、膝関節から下に伸びる管も膝関節の中心線を外れずに、ねじれることなく真っ直ぐに球節の中心部につながっていることです。(図9参照)もちろんこんな馬は滅多にいません、存在しないといったほうがいいくらいの確率です。多くの馬は程度の差こそあれ、膝の位置がずれていたり、膝につながる肢がねじれていたり、その両方を併せ持っていたりしています。 |
 |
理想的な前肢(前から見た図) |
膝と球節が一直線上にあり、関節部の上下の部分にも「ずれ」や「ねじれ」のないものが理想です。もちろんこんな馬は滅多にいません。 |
 |
 |
|
5.実馬を見ることが出来れば、何度も馬を立たせてじっくり確認したいところです。本馬の肢が調教を積んで、無事競走馬として、競馬場を走れるかどうかを判断するのは自分です。なるべく大きな支軸の異常は避けたいものですが、前肢以外の部分、たとえば血統的に魅力があるとか、馬体が素晴らしい等といった場合は往々にしてあります。悩みどころですが、リスクを承知で買うか、見送るかは自分の判断ひとつでしょう。ベガやアドマイヤボス、アドマイヤドンなどは決して、支軸の正常な馬とはいえませんでしたが、競走では活躍しています。リスクと可能性を天秤にかけた判断がよい結果を結んだ好例だと思います。 |
 |
実際の支軸はこういう形 |
実際に馬の支軸は、内向、外向、ねじれ等が各部で組み合わさって、色々な形で現れます。正姿勢で立ったときに前から見て、膝や、球節、軸がずれているものが一般的です。下図のように、あまりにもひどいものは避けて通ったほうがよいでしょう。
|
 |
 |
|
●足を知る 肢が内側に入っている場合は内向、外側を向いている場合は外向と呼びます。(図11参照)実際には肘から下、膝から下、球節から下の各部もしくはその複数の場所で内向、外向、ねじれが組み合わさった前肢の作りが見られます。 |
外向・内向 正面から見た、左肢を参考にして内向外向を説明します。
これは理想に近い前肢の姿勢です。丸は膝と球節、点線は関節部につながる部分を示します。ここでは右前脚を例に紹介します。 |
 |
これは「球節から下が内向」 |
これは「膝から下が内向」 |
 |
 |
これは「球節から下が外向」 |
これは「膝から下が外向」 |
 |
 |
実際にはこのように、ねじれと外向、内向および関節部のずれが組み合わさって、支軸を形成します。写真でいくつか実際の例を紹介します。 |
|
支軸の完璧な馬は滅多にいません。個々の馬が大なり小なり、支軸のねじれやずれ、内向や外向をもっています。もちろん立ち方ひとつでそう見えることも充分ありえますので、写真だけでの判断は難しいかもしれません。 |
 |
 |
 |
 |
 |
膝の形は馬の周りをぐるっと一周して確認できれば最高です。クラブのパンフレットによっては、横姿のみの写真しかない場合があります。この場合だと膝と膝つきを確認するのは難しくなります。少なくとも、横と前からの写真は必要になってくるでしょう。 |
|
 |
 |
|
 |
 |
 |
 |
|